PCR検査を行うことと、患者発生者数を抑制することに因果関係がないことが判明して参りました。海外でもPCR検査を積極的に行っている国で、抑制されているという報告はなく、その事実もないことは周知のとおりと存じます。有効な治療法のない状況では、PCR検査にあまり意味がなく(早期発見には有効であることは認めます)、多く検査を行えばよいというわけではないことも証明されつつあります。ただし、治療法の開発が進めばPCR、あるいはほかに代わる検査キットの出番も出てくることと思います。それまでは今まで通り、十分な予防が肝要かと考えます。
また、ワクチン接種についても、集団免疫がある程度の感染者数の増加により増加してきていることもわかってきております。これは、我が国の人口当たりの死亡者数が減少しているというデータの蓄積からわかってきております。ウイルスの弱毒化が起こっていると考えられるとともに、集団免疫がつきつつあることが予想されます。今後、新型コロナウイルス抗体保持者の割合を出すために、抗体価を測定していくことが望まれます。65%以上の抗体保持陽性者がいれば、収束に向かうと考えられています。さすれば、ワクチン接種も従来のインフルエンザと同様に、定期的な接種が必要な疾患になる可能性がございます。接種の副作用、接種条件のハードル(酸素ボンベの準備や、比較的起こる確率が高いと考えられるアナフィラキシーに対しての救急処置のをさほど必要としない、安全性の高いワクチンの開発など)が下がることを切に願います。もちろん、コロナウイルスはRNAウイルスであるがゆえに、DNAウイルスよりも変異速度が早いことを念頭に置かねばならないと考えます。また、どのような条件下で感染しやすいかも検討の余地がございます。
また、これはエビデンスに乏しいのですが、インフルエンザと診断されて、キットでは陽性ではなかった方の一部は、コロナウイルス感染症である可能性も示唆されております。
感染症専門医ではございませんが、日本に導入された比較的早い段階で、PCRという手技をミトコンドリアDNAで研究してきたものとして、また、免疫学をかじったことのあるものとして、今後の見解を述べさせていただきました。