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ヒューマノイド、歴史本、そしてFate/stay/night

ヒューマノイド、歴史本、そしてFate/stay/night

前回の終わりに、スタニスワフ・レムの代表3部作のひとつ、「砂漠の惑星」についてのレヴューをすると予告した。しかしこれは一時保留にしたい。理由の一つとして、レム自体が日本人にとって、あまりメジャーであるといえない点、そしてその中でも「ソラリスの陽のもとに」よりもマイナーであろう「砂漠の惑星」を題材にすることは、あまり共感を得られないであろうと予想されるからだ。また、読み返す時間もない。

さらに、「八雲起つ」の反響が大きかった半面、「からくりオデット」については、ほぼ反応がなかった点とも一致する。やはり知名度的には「八雲起つ」のほうに軍配が上がってしまうようだ。

そこで、今回は予告を変更して、ほかの題材で行こうと思う。なお、ここで、「ヒューマノイド(あるいはAI)とヒトとしての人類のありよう」について、前回も出した映画「エクス・マキナ」は観てほしい。映像美として、そのどんでん返しとして、観衆の予測を見事に、鮮やかな演出手法で表現している。

ほかにも、ロシアで作られたドラマ「アリサ・ヒューマノイド」も素晴らしい。ネット配信のみで、現在の社会情勢を鑑みると、精神的に抵抗のある人も多いと思うが、政治と文化は別物であり、基本的に私自身が、政治に興味は持っても口を出さない主義、であることを改めて述べておく。

さて、「ヒューマノイドとヒト」関係ならこの作品、という意見をいただいた。映画「AI」、これは世界中で大ヒットしたので、観た人は多いのではないでしょうか。また、小説で言えば、前にも出した記憶のある、眉村卓氏著の「わがセクソイド」、「AIの遺電子」という漫画、「自虐の詩」の2作目である「ロボット小雪」という漫画は、ジャンルは違えども、非常に考えさせられる。そして、漫画と映像化された「イヴの時間」は見逃せない。なおいずれも既読である。「イヴの時間」について少し触れておく。ヒトとヒトのために役立つよう、しかしながらある程度の権利を与えられたヒューマノイド。アイザック・アシモフのロボット3原則の盲点を突いた作品である。「ヒトとヒューマノイド」とが分け隔てのない空間に共存できたら・・・。そのような社会に危機感を持つ人々が出てくることは想像に難くない。しかしながら、共存できる社会がこのようであったなら・・・という未来を予見させてくれる。

一方、ロボット同士の闘いというものも挙げておこうと思う。有名なものと言えば、かの手塚治虫氏の「鉄腕アトム」の最も有名なエピソード「史上最大のロボット」であり、スピンオフ作品も多数に出ている。そのあとでは「プラレス三四郎」という、人(主に少年少女)がパソコンで操作するロボットどうしの闘いと、その中で芽生える友情などを描く作品漫画(テレビ作品化もされた)や、古くは横山光輝氏の「鉄人28号」などはその最たるものであろう。この種の作品は良作がたくさんあるが、人の心に訴える作品で、私おすすめは何と言っても映画、「リアル・スティール」である。「プラレス三四郎」を読んだことのある読者(古くて失礼)ならこの世界にすぐに入り込める。人がコンピューターで操作する、等身大のロボットどうしを戦わせて、賞金稼ぎをするというのが骨子だが、この映画ではさらにその世界にヒューマニズムを組み込んで、親子の愛情と信頼の回復、主人公の少年の成長までを、丁寧に作りこんでいる。涙なくしては語れない映画の一本である。メディア化もされているので、ぜひ。さらに話は飛んで「パシフィック・リム」。日本人でも、主人公の一人を菊地凛子が演じ、その子供時代を芦田愛奈が演じた話題作だ。2作目も作られたが、それはそっと置いておこう。ロボットどうしではないが、戦闘シーンは力が入っていて、グロいシーンもあるが、娯楽作品としてはお勧めできる。ヒトと人工知性体との関係は、異星人に置き換えても興味深いSFの分野であり、その分作品数も多い。異色作では奥浩哉氏の「いぬやしき」も同じであり、ヒューマニズムが根底にある。名作と称されるレム著の「砂漠の惑星」も、道の知性体とのファーストコンタクトという点において、傑作であり、その範疇の理解を超えない。

さて、ここまでが前書きである。長くなった。

歴史好きな方より質問をいただいた。歴史小説の読書歴である。全ての書籍名を列挙することは不可能であるため、作者名と代表作を、自分の入っていった順に列挙する。

まず、柴田錬三郎氏「真田十勇士」。NHK人形時代劇。先日亡くなられた、辻村ジュサブロー氏の少年少女向け人形劇である。ここから小説にはまり込む。次いで大河ドラマ「風と雲と虹と」で、原作は海音寺潮五郎氏である。平将門にゆかりの地を訪ねて、中学生時代に一人旅をしたことを思い出す。次いで吉川英治氏の「三国志」で東アジアの歴史に触れ、同じく大河ドラマの「花神」で、大村益次郎という幕末の天才軍略家を司馬遼太郎氏の目を通して知り、司馬遼太郎太郎氏の代表作はほぼ読破した。並行して山岡荘八氏の「徳川家康」を読んだ後、山岡荘八氏の小説も読破し、井上靖氏の「風林火山」など、池波正太郎氏の「剣客商売」シリーズ、「藤枝梅安」シリーズも読破、その後宮城谷昌光氏の古代中国史を題材にした小説、例えば「孟嘗君」など、和田竜氏の「村上海賊の娘」などになってくる。

テレビも当時は時代劇をたくさん放送しており、毎日のように見ていた。同様に1980年代に入ると、歴史を扱うシミュレーションゲームの発売が相次ぎ、三国志、明治維新、はては現代戦を題材にするものまで出現した。昔、とあるテレビ番組で、オックスフォード大学であったかどこかの大学入試の口頭試問で、試験官の教授が「君の趣味は何か」という質問を、試験を受けに来た学生に投げかけた。学生は「僕はウォーゲームが好きです」と答えた。この当時のゲームはボードゲームがまだ主流であり、ボードゲームのウォーゲームのことを指している。それを聞いた試験官は「なぜ好きなのか」を問うた。学生は「物事を進めるときの効率を考えるために戦略や戦術が役に立つからです」というような答え方をした(と記憶している)。試験採点の裏側では、試験官たちが「ウォーゲームが好きというのはどう思うかね」、「戦争ゲームが好きな学生は、あまり好ましくないな」などとして、その学生は結果試験に落ちた。私はその映像に少し驚いた。例えば、であるが試験官の求める答えは「チェスなどの思考ゲームです」という回答であり、その理由に「戦略、戦術が学べる」という答えが入っていたら合格だったであろう。現代戦のシミュレーションゲームは、常に微妙な問題を抱えているのであろう。って、チェスも元々はウォーゲームだろう、とツッコミを入れたくなる。もちろん囲碁や将棋もそうだ。戦国武将が戦略、戦術を学ぶために囲碁将棋を好んだという話はあまりにも有名。

さて、今回は「Fate stay night」いうテキストアドベンチャーゲームについて触れてみたい。正確には「ビジュアルノベルゲーム」に分類されるらしいが、「オホーツクに消ゆ」や「ポートピア連続殺人事件」などの、古―いゲームをプレイしたものとしては、テキストアドベンチャーゲームの方がしっくりくる。

閑話休題。というのも、前回剣を題材にした「八雲起つ」が好評であったため、武具をシンボルとしている何かないかと考えたとき、はたと思い当たったのがこのゲームである。メディアミックス化もされており、アニメーション、劇場公開版も、漫画もスピンオフ作品もかなりたくさんあり、結構メジャーなゲームではないであろうか。スマホアプリ版のゲームで言えば、「fate grand order:FGO」なら、「ああ、あのゲームか」と思い当たる方もいるだろう。後者はRPGであるが、スマホでゲームをする習慣もなく、オンラインゲームには興味がなく、何しろRPG自体に時間がかかって苦手な私にはハードルが高すぎる。そのためFGOは全く触れていない。そこで、物語の原点である「Fate stay night」である。久しぶりに少しだけPlayしてみた。時間がないので先飛ばしでPlayする。その当時も驚いたものだが、何しろテキスト量が半端ではない。また、画数も半端なく多い。キャラクターの表情も多数の変化があり、ポーズ、背景も多彩である。500枚を超える画数であると聞いているが、その中のアニメーションもその当時の技術としては非常に滑らかであり、オープニングの映像、歌とも非常に秀逸である。原点が同人ソフト(4人で発足)であった点を考えると、驚嘆に値する。今プレイしても色あせることなく、よく練りこまれたストーリー、作品へと引き込む力は凄まじいものがある。2004年の初回盤は、実家を探せばどこかから出てくるが、どこへやってしまったのであろうか。探せども見当たらない。

2014年版の「Fate/hollow ataraxia」とのセット版は2つもっている。ゲームプレイ用と「コレクター用」である。いかにこのゲームが私にとって特別に思い入れのあるゲームであるか。まったくぶれない主人公、その未来の秘密、個性分かれる魅力的なヒロインたち、彼らの関係が分岐によって変化していく、また、性格(心情)の変化もこの作品の魅力の一つではなかろうか。同じメーカーから出ている「魔法使いの夜」通称「まほよ」もかつてプレイしたが、詳しい内容は忘れてしまった。パッケージはあるので、時間があれば再プレイしてみたい。ほかのプラットフォームで同作が最近発売されている。ただ、「Fate stay night」も「まほよ」も18禁であり(ほかのプラットフォームではこれは外されているらしい)、購入には注意が必要である。といっても、その部分の描写としてはきれいなんだけどね。因みになぜ、「Fate stay night」と「剣」とかというと、作中の中で「シンボル」として、非常に重要な役割を果たしているからである。ゲーム版は、復刻版が出ているので、そちらでプレイしていただきたい。またアニメーションとしても作られていると前述したが、そちらは一部、鬼滅の刃を制作した「ufotable」が担当しており、映像美と躍動感が素晴らしいという話である(こちらは持ってはいるが未鑑賞である)。こちらも配信版があるはずなので、そちらでもよいので見てもよいかも知れない。

いずれにしても、人類の進化の歴史は戦いの歴史であり、歴史を学ぶ以上避けては通れぬところである。ただ、そこには人間味あふれる物語があったであろうし(歴史のロマンというものに近いものであろう)、だからこそ、それが平和的に解決する術を学ぶために、学問としての歴史、他国で教える歴史も含め、軽視してはならないと考えるのである。学校の先生は戦争が起こるたびに言う。「歴史は繰り返される」と。戦いがないことは理想論であろうが、それを回避する方法を学び取ることが本当の戦略であると考え、この稿を締めくくるものとする。

次回は未定。アニメーション、本、漫画、ゲームときたので、また読書記について書いてみたい。

神経学会感想記は載せようと思う。

私はこれから「パーキンソン病」の研究会へ向かう。

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