小学校6年生のころにやっていた、NHKの「少年ドラマシリーズ」にはまった。「未来からの挑戦」。このドラマが私と、SF作家、眉村卓先生との最初の出会いになる。
内容は・・・超能力の手引きの本が間違えて学校の図書館に届けられてしまう。それを読んだ主人公の少年は、半信半疑でその本の通りに超能力者になるための訓練をする。最初はそのような超能力は身につくはずもないが、実際超能力を使う少年を目の当たりにした主人公に、超能力が覚醒する。一方そんな中、学校の規律を重んじる、学業、スポーツなどの英才学生集団が生徒会を牛耳り、「校内パトロール」と称して学生の矯正に乗りだしていた。そう、彼らは皆超能力を持っていた。物を念力で動かしたり、人の心を読んだり、瞬間移動など。その力を使って、学校の規律を強化していき、次第に学校を支配しようとするようになる。それに反感を抱く主人公と、その友人(実は未来から来た少年)、ガールフレンドたちが力を合わせ、その超能力集団に立ち向かう、という話である。超能力を身に着けた主人公と彼の友人vsなぞの超能力集団との闘いが始まる。一方敵の超能力グループにも、やむにやまれぬ彼らなりの正当な事情があって・・・奥が深い。タイムトラベルあり(このタイムトラベルシーンは特筆すべき見どころである!)、アンドロイドは出てくるは、アイデア盛りだくさんでワクワクドキドキしながら見た記憶がある。うーん、今の子供たちにも見せたいなあ。
ところでこのお話、どこかで見たり聞いたりしたことのある内容だ、と思った方もいるかもしれない。
そう、その後映画化されている「ねらわれた学園」が原作である。正確に言うと、アイキャッチで用いた「地獄の才能」と「ねらわれた学園」をベースにして作ったドラマが「未来からの挑戦」である。ただし、断っておかねばならないのは、ドラマは見返せないので、ドラマは私の記憶を頼りに本と混同している部分もあるかもしれない。ご容赦を。
映画も良かったが、私にとってストーリーの受け入れやすさは、ドラマの「未来からの挑戦」のほうであった。もうひとつの画像、「天才は作られる」も、ストーリーは異なるが、超能力というテーマでは一致している。私は、「未来からの挑戦」をアイキャッチにした「地獄の才能」と「天才は作られる」が原作だと勘違いしていた。
その後も「少年ドラマシリーズ」を見続け、筒井康隆先生の「七瀬ふたたび」にはまり、「家族八景」なども読み耽った。
少年少女向けのSFをいくつも書いている眉村卓先生であるが、その中でも特筆すべきは「ねじれた町」である。過去に呪縛された街に引っ越してきた主人公は、町に巣くう異形の妖怪たちを相手に、同級生たちとともに超能力(?)で戦う、という内容である。うろ覚えではあるが、こんな話であったように記憶している。
「閉ざされた時間割」は、読後怖くて眠れなかった。異性人に身体を乗っ取られる話である。ほかにも眉村卓先生は、青い鳥文庫やコバルト文庫などでも、少女向けのSFを書き残されている。これらはまた別の機会に紹介したいと思う。もちろん「司政官」シリーズ、「消滅の光輪」、「引き潮のとき」については別稿で述べてみたい。
次回は、「鬼滅の刃」の「日輪刀」に関連した、刀を題材にした漫画、樹なつみ先生の「八雲立つ」をテーマに、「OZ」という作品にも触れてみたい。