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新型コロナウイルス感染症で「医療崩壊」は起きるのか

新型コロナウイルス感染症で「医療崩壊」は起きるのか

新型コロナウイルスで「医療崩壊」が叫ばれています。崩壊するのでしょうか、しないのでしょうか。私的には「すると言えばする、しないといえばしない」という結論になると考えております。

「崩壊する」という根拠に「感染専門病床数が圧倒的に少ない」という理由と、「看護師さんの数が足りない」という理由と「感染症、というよりもこのウイルスを専門に診ることのできる医師が非常に少ない」という3つの理由があると思います。

ここで間違えないでいただきたいことは「重症病床数が足りない」ではなく、「感染病床数が足りない」ということです。「感染病床数」です。伝染病感染者を収容できる全国の病床全数は把握いたしておりませんが、かつて勤務していた、成田赤十字病院の感染病床は、全部で600病床近くある大きな病院でした。そこでは感染病棟は完全な隔離病棟でしたが、病床数は一桁だった記憶があります。市川の病院にも勤務していたことがありますが、感染病棟は、車で移動しなければならない林の中にぽつねんと建っており、木でできた床の古い建物で、4床しかベッドがありませんでした。塩素消毒の刺激臭と、青い殺菌灯の中、一人だけ入院している患者さんを、防護服で診察した記憶があります。
当然のことながら、がんや外傷で入院してきた重症な方と、新型コロナウイルス感染症で入院してきた方を、重症だからという理由で同じ部屋、同じ病棟に入れることはできません。ここが「重症病棟」の定義の誤解を最も受けやすいところはここではないかと考えています。
何度も申し上げますが、「重症病床数」と「感染病床数」は全くの別物の数字なのです。
現在大きな病院では、病棟の一部を「感染病床」に割り当てて、治療を行っています。私が非常勤で勤務している病院のいずれも、一般病棟をつぶして「感染病棟」にしております。そうすれば、当然のごとく一般患者さんの病床数は減ります。病棟一つに40-60人の患者さんが入院できるとすれば、大きな病院(300床以上)でも1/5は新型コロナウイルスの患者さん用に使われるわけです。もちろんそこに一般患者さんは入れることはできません。
小さい病院(民間病院の多く)では、病棟を「新型コロナウイルス病棟」にしようものなら、病院全体が「新型コロナウイルス病棟」にしなければならなくなります。民間病院での受け入れが難しい問題は、いちばんはそこにあるのではないかと考えております。前述しましたが、私の知っている「感染病棟」は、ほぼ完全な「隔離病棟」で、長い廊下を通らなければそこに行きつくことはできませんでした。国立国府台病院や国立習志野病院の昔の姿を知っていれば、「どうしてあんなに廊下が長かったのだろう」と得心していただけるはずです。そうです。昔は結核療養病棟だった名残なのです。感染症が減り、隔離病棟が必要なくなった現在では、「感染病棟」つまり「隔離病棟」の減少があだとなっているのです。

そしてまた、ここで誤解していただきたくないことは「誰かが悪いわけではない」ことです。少なくともわれわれ医療者をも含めた多くの一般国民は、少なく意図も新型コロナウイルス感染症に限って行ってしまえば、恐らく誰一人として悪意を持っているとは考えられません。生まれつき「悪さをしようと思っていない性分であること」とします(性善説)。例えばマスクを面前でしないのは悪気がないか、気にしない性格なのかだと考えます。そして誰も責めることなく、誰も責めを負う必要などないことは肝に銘じておくべきことだと考えます。疑心暗鬼になれば「誰誰が悪い」から「生まれつき人間は皆悪い」(性悪説)的な考えになって、ぎすぎすした世の中になって行ってしまうと考えます。悪いのは、ヒトではなく、「ウイルス」と、「それに便乗したデマゴーグ」だけだと思います。

日本がPCR検査に消極的なのは、「検査をやった」→「陽性に出た」→「感染病棟のある病院がない」→「自宅待機」しか方法がない、からだと考えています。自宅待機中に重症化する方も問題になっていますし、その一方外に出歩いて感染を広めてしまう方もいるでしょう。でもそれしか今は方法がないのです。クリニックにしても然り、発熱で受診した方を「時間」と「場所」を指定して診察し、十分な滅菌(滅ウイルス)をする以外に方法はありません。感染を広めないためにはそれしか方法がないのです。ただ、感染している恐れが少ない人が外に出歩くことがいけないことではないです。外出自粛も、人の密集していないところでは出歩いても良いと考えます。電車などでは換気をしているくらいですから。むしろ日光浴もできますし、運動もできます。

我々医師の共通する認識は「重症者は人手が要る」ということです。特に看護師さんや他科の先生の協力なしで診ることはほとんど不可能ですし、検査技師の方、機械担当の技術の方、事務の方、薬剤師の方、そのほか皆の力を合わせなければ診切れません。都市部では「たらいまわし」が問題になり、地域では「医師不足」、「医療者不足」が叫ばれます。新型コロナウイルス蔓延を恐れて、介護施設では面会やリハビリが出来なくなり、認知機能、身体機能の低下、いわゆる「フレイル」が起きています。診察しないと命にかかわる可能性のある患者さんは、来院できなくなり、実際に重症化したり、お亡くなりになっているという現状もあります。当院においても例外ではありません。

新型コロナウイルスを知るには、まず敵の正体を知らなければなりません。何が重症化させるのか、どうすれば予防できるのか、山中教授のおっしゃる「ファクター X」は何か、などです。また、疫学調査も必要です。年齢、性別、基礎疾患、生活習慣などと罹りやすさ、重症化しやすさの因果を一つ一つ丁寧に解析する必要もあるでしょう。また、感染しやすさ、致死率や重症化率などを、われわれがよく知る「インフルエンザ」と対比して知らせることも理解しやすいのではないでしょうか。
日本は民主主義国家です。強権発動して都市の「封じ込め」はすることはできません。緊急事態宣言も「お願い」しか方法がないのかもしれません。
「医療崩壊する」根拠として挙げた3つは、上記を克服すればよいことですが、これがなかなかに難しいかもしれないのです。

一方「医療崩壊しない」という可能性につき、方法論も含め考察してみたいと思います。
まず、皆様がしている感染に対する「予防」です。マスク、接触、手洗い、うがい、加湿、日光浴などいろいろあります。そして今実践しています。そのためと考えますが実際インフルエンザ患者さんはほとんど出ておりません。むしろ皆無といってもいいでしょう。感染予防を十分に行い、その間に時間稼ぎをし、敵の素性を知り、ワクチン開発をする、というストラテジーでしょうか。ただ、変異型も出ていることよりワクチンの効果がどこまで期待できるかは未知数です。油断なく恐れることは必要ですが、「どの程度恐れる必要があるのか」は、ほかの感染症と対比しても良いのではないでしょうか。「過去に学べ、歴史に学べ」と言います。歴史の先生は「過去は繰り返される」と教えます。人間は知恵のある生き物です。「過去を繰り返さないためにはどうしたらよいか」を考えて工夫していく必要があると思います。ナショナルジオグラフィックに特集が組まれておりますので、一読された方もおられるのではないでしょうか。
「医療崩壊しない」方法は、ほかの有識者の方々も述べられていますが、「感染専用病院」を作ることもひとつです。新しく建てていたのでは間に合いません。指定病院を完全に「感染病院」にしてしまうことです。たくさんの病院を作る必要はありません。その病院の中で、「重症患者」「軽症患者」「隔離患者」の部屋に分けていくのです。もちろん手厚い保証がないとだれも手上げをしないと思います。ばらばらに各病院で「受け入れ」行っていたら、クラスターでいくつもの病院が無くなってしまうかもしれないのです。

私見として述べさせていただきますが、「医療崩壊しない」方法として(同意を得られるかどうかはわかりませんが)、新型コロナウイルスをインフルエンザと同等レベルにまで落としてほしいと考えています。感染症としてのカテゴリーレベルを落としてしまえば、さほど難しい話ではなくなってしまいます。そのためには、疫学調査、インフルエンザと比べた致死率などのデータの公表が必要だと考えます。感染者数を発表することはそろそろ終わりにして、「死亡者数/感染者数」を公表していくべきでしょう。それも「インフルエンザウイルス感染症と対比して」です。終わりのない戦いに終止符を打つことができるのは、データとそれに基づく戦略です。そこを詳らかにしないことには、延々とこの長く暗いトンネルを抜けることはできません。経済を回していくためにも、新型コロナウイルスで亡くならないためにも、受診控えで命を落とさないためにも、一人一人が十分な予防対策をとると同時に、正確なデータの公表が不可欠と思います。以前にも書きましたが、致死率の高い疾患は蔓延しません。感染拡大前に感染した方が亡くなってしまうからです。致死率が高く、感染率が高いと「アウトブレイク」になります。一方感染率が高くても致死率が低ければ、対処法の立てようはあります。そのような病原体が今対処できる流行性感染症のほとんどだからです。新型コロナウイルスは果たしてどちらでしょう。私には、現在の新型コロナウイルスは、後者に近いと狙っています。

経済を回すためにも、グローバル化社会の中でもここは十分な予防策をとった状態で内需拡大を優先しませんか。

さて、予防はどんな疾患にも当てはまります。脳梗塞や心筋梗塞、癌などにも予防できる方法はたくさんあります。既知のことで十分です。予防的な薬物治療(高血圧症、脂質異常症、糖尿病など)、生活習慣の見直し、定期的な受診、運動習慣など、予防が全てです。今回の新型コロナウイルス感染症から我々人類が学ぶべきことは、「予防が大切である」という当たり前のお話です。ここはとても大事なところです。

長々なりました。これをお読みいただき、少しでも気持ちが晴れていただければと考えております。「正しく恐れる」ために、皆がそれぞれに知恵を振り絞ろうではありませんか。

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