片頭痛の診断は、実はとても難しい。小手先の知識では診断はもとより、治療に結びつかないこともあります。頭痛専門医が創設されたのは、そのような経緯もあります。まず、頭痛の種類、小さなものも含めると150以上に分類されます。丁寧な問診、どのような症状がいつからあり、その頻度や誘発因子(どんな状況下で頭痛が出るのか)を事細かにお聞きします。さらに頭蓋内病変(脳そのものに病気がないか)の有無を確認するための神経学的検査(診察)と画像診断。そして鑑別診断(様々な頭痛の原因を除外していく)を行います。問診でおおよその見当がつくこともあれば、画像診断、場合により血液検査、ほかの病院への検査依頼をお願いすることもございます。「薬物使用過多に伴う頭痛」これは昔「薬物乱用頭痛」と言われていたものですが、「乱用」は「中毒」をイメージさせ、聞こえが悪いということで名称変更されましたが、こちらもなぜそういう経緯に至ったのかを知ることが肝要になってまいります。緊張型頭痛とよく診断されている「片頭痛」。肩こりがあるから「緊張型頭痛」と診断されている方も少なくありません。もちろん昔は「混合型頭痛」という分類もありましたが、国際頭痛分類からは早々に廃止されております。どちらの要素がより強いかにより、診断を行います。
神経診断学は慎重に行う、これは恩師の「平山惠造」元千葉大学神経内科学教授から受けた薫陶の一つであり、「大事にしていきたい」と思っているところです。
次回は、もう少し頭痛の診断について述べたいと思います。
画像は、私が頭痛のところを分担執筆させていただいた本でございます。