小学生のころ、月に1回ほど学校の図書館で「読書タイム(?)」なるものがありました。小学3年生のころだったかと思います。「時間ちょう特急」という本でした。そして、運命の1冊(?)ともいえる本がそれだったのです。恐らく電車好きだった小学生の私はただ単に「ちょう特急」というフレーズに引かれただけかもしれません。ついでに「ちょう特急」という言葉は今はほとんど使われません。「新幹線」ですね。私の子供時代は「超特急」と言えば「ひかり号」であり、新幹線などという言葉は浸透していなかったのです。
ともかく、その「時間ちょう特急」という本に魅せられてしましました。ざっくりした内容は、大型の塔のようなタイムマシンを使った、青年たちと悪者との闘いで、お決まりのようにヒロインが出てきます。ヒロインのことはすっかり記憶から欠落しており、「原子分解砲」なる架空兵器を知ったのもその本からです。今思うと頭脳戦、心理戦でした。どちらかがある時間の世界に出現すると、もう一方のタイムマシンは出現できません。時間が交差し、タイムマシン同士がぶつかり合い、大爆発を起こしてしまうからなのです。そのタイムマシンの戦闘シーンに、子供ながらに手に汗を握って、何度も何度も読み返した記憶があります。数年前、やっとの思いで京都の古書店から手に入れることが出来ました。見つけた時の喜びで、手は震えてしまいました。改めて読み直し、「ああそういうお話だったんだなあ」と妙に得心してしまいました。後年、「盗まれたタイムマシン」というタイトルで復刻版が出ました。
著者のレイ・カミングスは、時間をテーマにしたSFをいくつも書いています。また、かのトーマス・アルバ・エジソンの助手であった時期もあったようです。古典的なSFに分類されるものかもしれませんが、私の科学に対する興味を思いきり引き付けたことに間違いはありません。訳者の南山宏氏は、あとがきによれば稲毛にお住まいだったとのこと。千葉県、親近感がわきます。
その後、私はお決まりのコースで星新一氏にはじまり眉村卓氏、豊田有恒氏、神林長平氏、そして海外ではスタニスワフ・レム氏の作品に傾倒していき、小説、映画、漫画、アニメ、ゲームとオタクの世界(!?)に入って行きました。スタニスワフ・レムと聞いてピンとこない方のために、代表作「ソラリスの陽のもとに」、映画では「惑星ソラリス」として耳にしたことがある方もおいでになるのではないでしょうか。究極はノーバート・ウィーナー氏の「サイバネティクス理論」。これはSFではありませんが、生体を数式で表し、体系化した画期的な書物です。難解で、私もほとんど理解できずに読み終わってしまいました。「サイボーグ」の語源はここからきております。「サイバネテック・オーガニズム」、略してサイボーグです。
学生時代、夏はSFを読み、冬は時代小説を夢中になって読みました。時代小説は柴田錬三郎氏にはじまり吉川英治氏、司馬遼太郎氏、池波正太郎氏、最近では宮城谷昌光氏をよく読みます。私の興味をひく本、映画(など)につき、少しずつ紹介していきたいと思います。
ついでに最近、海外ドラマ「ウエストワールド」にはまっています。