パーキンソン病は神経難病の中でもとりわけ多い疾患でございます。人口10万人当たり140-200人いるといわれておりますが、ご高齢になると発症比率が高くなりますので、実際は潜在的にもっと多くの方が罹患していると考えられます。パーキンソン病で最も有名なものが、振戦いわゆる「ふるえ」ですが、実際にはふるえがない方も多くおいでになります。パーキンソン病の診断に最も重要な症状が「筋強剛」と申し、筋肉が固くなり、動作が遅くなるのですが(厳密には「すくみ」という症状と分けております)、転びやすいなどの症状を呈する方もおいでになります。においが分かりにくかったり、夜中に大きな声で寝言を言ったりする方もおいでになります。パーキンソン病を疑う時の症状でございます。便秘や発汗過多、関節痛(特に腰痛、腰曲がり)で、整形外科を経由して来られる方もおいでになりますし、うつ症状などが前面に出て、精神科経由でおいでになる方もおります。このように多岐にわたる初発症状がございます。
歩くのが遅くなった、夜中に寝言で叫ぶ、悪い夢を見る、前かがみになる、ふるえる、動作が遅くやる気が出ない、などの症状がございましたら、パーキンソン病の症状かもしれません。
初発症状とは関係ございませんが、現在は多くの薬剤が出ております。年齢的な変化とかたずけずに、治療をすれば症状が改善する疾患でございますので、ご相談ください。
次回はいわゆる「パーキンソン症候群」との違いにつき、ご説明させていただく予定です。