2024年6月1日より、高血圧症、高脂血症(脂質異常症)、糖尿病の3つの慢性的な生活習慣病で罹られている方に限り、今までの「特定疾患管理料」、つまり慢性疾患で罹られている方に算定する事が出来なくなります。代わりに登場するものが、「生活習慣病管理料」になります。この3疾患に限ってのことです。
特定疾患というのは、不整脈や脳梗塞、慢性胃炎や狭心症など多岐にわたる慢性的な疾患で罹られている方に、「指導」つまり「アドバイス」を行うことにより診療をする行為です。内服薬の処方の必要の有無は関係なく、例えば糖尿病の方に、運動を促したり、高血圧症の方に塩分制限や禁煙を促す説明も治療の一環としてみなしておりました。ちなみにこの保険点数は225点で、自費換算で10倍の2250円になります。3割負担では675円です。これに「外来管理加算」がつき、52点(自費で520円、3割負担で156円)が加算されます。つまり、3割負担で831円が自己負担金になっておりました。また、月に2回算定が可能でした(当院は原則的に月に1回以上(42日以上空けています)の診療ですので、多くの方が月に1回だけのはずです。
6月以降新設される「生活習慣病管理料には二つ種類があります。「生活習慣病管理料(1)」と「生活習慣病管理料(2)」です。当院で算定するものは「生活習慣病管理料(2)」になります。
「生活習慣病管理料(1)」は、高いものでは糖尿病の760点を筆頭に高脂血症でも660点です。自費換算しますと7600円から6600円となり、3割負担でも糖尿病は2280円、高脂血症は1980円となり、今までの「特定疾患管理料」の3割負担、675円と比べても3倍以上割高な負担を患者さんに与えるものに改定されました。注射や検査はそれらの金額の中に含まれますが、それは各医師の裁量によって決まるようです。
今回新設されるものでは「生活習慣病管理料(2)」があり、(1)と(2)のちがいは検査を含むか含まないかの違いになるようです(それでも含むことのできない検査は(1)の中にも多数ありるようです)。「生活習慣病管理料(2)」は、3疾患とも333点です。自費では3330円、3割負担では1100円になります。こちらには検査料は含みません。「生活習慣病管理料(1)」、「生活習慣病管理料(2)」とも、以前の「特定疾患管理料」と異なり、月に1回のみの算定になります。
(1)、(2)、いずれも「生活習慣病・療養計画書」を作成し、患者さんのサインをいただくことになります。計画書の項目は多岐にわたり、お時間をいただくことになりかねないため、いくつかのテンプレートを作成しておく予定です。
当院では患者さんへの負担を考え、3割負担で以前の831円に近い方(安い方)の(2)の1100円で算定致します。受診も月に1回を目処に受診していただくように指導されます(これは(1)も一緒のようです)。
国の考えでは「医療費を抑えるために、「生活習慣病で、今後起こりうる脳梗塞や心疾患を予防し、入院などでかかる費用を軽減させることが目的」とあります。ご理解賜りますと幸いです。
「生活習慣病・療養計画書」の記入にぜひご同意ください。これがないと、生活習慣病3疾患の方は診察が受けられません。国からの指示です。ご協力のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。脳梗塞や狭心症、不整脈などのほかの多くの特定疾患の方は、今まで通り「特定疾患管理料」のままですので、合併症としてあるものはその病名で従来通りの225点で算定していく予定です。